法的整理経験者の声

 

■2023年10月
東日本 産業用機械器具販売 社歴36年 2023年5月破産申請 F社長74歳 
社員は自分1人
 
F社長のお話
メインバンクより借換ながら資金を回していたが、借換ができなくなり2020年2月に営業停止。法的破産整理するにも費用がかかるため、2023年5月に裁判所への破産申し立て。その間に裁判費用を捻出。代理人弁護士費用は分割支払い。現在は法テラスが立替払いし、法テラスに支払い中。8月に裁判所より免責決定。
輸入産業機械を工場に販売していたが、主力商品をメーカーが製造中止 。一気に売上が下がり損益分岐点を維持できず。破産に至る。
現在は扱っていたメーカーの商品を委託営業。
売上はピーク時3000万、営業停止時500万、損益分岐点1000万。 

金融債務がほとんどで買掛はほぼゼロ。負債総額2200万。法人1600万、個人600万。取引銀行2行でメインは100%保証協会付、サブはプロパー。 
自分1人で家族もなく、出身も九州なので回りに親戚もなく周りの目を気にする必要もなし。裁判で全て免責になり気が楽になった。現在は健康で仕事が続けられれば良い。もう少し早く法的な手続きを取っておけばよかった。 
  
 F社長との話で感じたこと 
会社と個人の信用の範囲で会社運営。取引銀行2行とも信金で、メインは全額保証協会付ですが相当応援したと思います。国の中小企業対策があったからだと思います。F社長も話していましたが、もう少し早くてもよかったのでは。国の中小企業対策も別の対策があれば違っていたのでは。F社長個人も含め、トータルのコストをもっと削減できていたのでは。再出発ももっと早くできていたのでは。

 
■2023年8月
東日本 製造業 精密部品製造 社歴33年 2022年12月破産申請 T社長72歳

T社長からのアドバイス:「忍耐と限界を取り違えないで、進退の判断を」

T社長のお話
今回の決断を自分一人でしました。銀行・縁者(息子が工場長)公的機関を含めだれにも相談せずアドバイス等も受けたことはありません。
売上は2007年をピークに2008年リーマンショック、2011年東日本大震災、2020年コロナと下がり2008年に従業員を13名から5名に減らし生き残りを図りました。今後を考えた時に設備更新に対する費用、高い技術力を要する従業員の確保、売上見通しそれらを勘案して今回の決断にいたりました。技術力は大手企業の信頼も厚く全国的にもトップクラスと自信を持っていました。しかし依頼企業の言い値で仕事をせざるをえず今回の決断に至りました。日常的な家庭環境が精神的安定に効果的でした。法的整理の判断は正しかったと思います。可能な限り努力をした結果ですから特別悔やむことはありません。敢えて申し上げれば個人財産が何も無くなったのは悔しいところですが・・・。行政の支援等については、一民間企業に対するものとしては限界があり、特別に要望するところはありません。当初メイン銀行は信金でしたが業績悪化で手のひらを返し手形割引も応じなくなりました。その後地銀がメインとなりコンサルと一緒に企業再生にも取り組んでくれ、プロパーの融資もしてくれました。債務は銀行がほとんどで買掛等もほぼなく個人破産をしても個人のクレジットカードは継続して使用できています。人間関係もほとんど変わらず、社員も全て新しい就職先を見つけられました。決断してから手続き終了までの10か月は長かったです。

以上はT社長のお話です。T社長との話で破産経験者として一致したことがあります。
①保証協会付で個人補償を取るのはおかしい。銀行のリスクをゼロにして、国が代表者を担保に取りそれに飽き足らず弱っている企業から高い保証料を取り、全く中小企業対策になっていない。中小企業対策に名をかりた銀行救済であり中小企業搾取である。
②破産をすると犯罪者になる。会社の法的整理、自己破産は法律的には「罪」ではありません。生活を再建し再挑戦するために法律で定められた正当な権利であり手段です。 再挑戦のチャンスでありスタートです。人は失敗から多くを学びます。日本の活性化には 失敗を生かす社会を作ることが 重要です。
③破産企業でも全部または部分的に利益の出る事業があれば、その事業を再生することが社員や社会のためになるのではないか。
④今の中小企業対策は江戸時代の百姓対策と同じ。政治家は中小企業対策と言いながら実態は「生かさず殺さず」。現実を理解していない。

今回のT社長のお話で感じたことは、今の日本の中小企業対策は江戸時代の百姓対策と同じだということです。江戸時代に百姓は大事(経済の基盤)だと言いながら「生かさず殺さず」絞り取る政策でした。今の中小企業対策も企業数の99.7%(357万社)従業員の68.8%(3,220万人)を357万人の社長が支えています。借入の80%が経営者保証付きです。保証協会付で経営者保証を取るのは、土地に縛り付け搾り取る江戸時代の幕府、会社に縛り付け絞り取る(保証を取られているので選択肢がない)今の政府と同じです。この政策を転換しない限り日本社会は活性化しないと思います。